日本の国土は山が多いだけでなく、山林の約6割は私有地といわれています。その点で、相続で山を所有するに至るケースはめずらしくはありません。
しかし、「いざ相続したとしてもどのように活用してよいかわからない」「仮に方法が分かっていてもリスクを考えると活用に踏み切れない」という悩みが出てきます。
このような理由で、あらかじめ相続放棄してしまう方もいることでしょう。
しかしその反面、有効に活用することができれば、ただの山でも収益につながります。自ら働かなくても収益を発生させられるのは得難いメリットです。
そのチャンスを安易に手放すというのも考えものですので、最低限どのような活用ができるか、シミュレーションしても損はないでしょう。
では、山を有効活用するにはどうすればよいのでしょうか? 今回は、山の土地活用の種類についてまとめていきます。
その中でもおすすめの土地活用方法も紹介しているので、ぜひ参照してみてください。
山の土地活用の種類
山には資源と広大なスペースがあります。その二つの特徴を活かせば、さまざまな方法で土地活用できることでしょう。
ここからは、山の土地活用に迷った際に検討できる方法について解説していきます。
林業従事者に貸し出す
山には木材という資源があり、そのまま放置するのは不利益になります。なぜなら、手入れをしなければ木が枯れ果て、使えなくなってしまうからです。
そうならないように、有効活用の手段として林業事業者に木材の採取場として提供するという方法があります。
自分で植林や伐採をしなくてもよいというメリットがあります。
山を相続した場合に植林や伐採の専門知識を持っている人はまれだといえますので、山の土地活用法としては現実的な手段といえるでしょう。
林産物業者に貸し出す
山の資源は木材だけではありません。キノコや山菜などの林産物があります。木材を取り扱う林業事業者と同様に、林産物で生計を立てている林産物業者もいます。
たとえば、キノコ類を販売する業者です。現在も国内産のきのこは一定の需要があるため、山に生えてくるキノコを求めて山の賃貸を希望する業者がいます。
そのほか、山菜やタケノコの採取ツアーを行っている業者などもよい例です。
このような林産物業者に土地を提供すれば、効率的に林産物を採取してもらい、売却益を分けてもらえます。
地方自治体に貸し出す
地方自治体によっては、自然保全を名目に山を一定期間借りてくれる場合があります。固定資産税が減額されるケースもあり、所有者の負担が軽減される点は見過ごせません。
何もせずに自治体が借りてくれるのであれば、うれしいですよね。
そのほか、山は自然と触れあうことができる貴重な環境でもあることから、住民サービス提供の際に需要が出ることもあります。
地方自治体によって制度が異なるので、山を有効的に使ってもらえないかどうか、相談してみるのもよいかもしれません。
太陽光発電による土地活用
自然エネルギーを売却するという方法もあります。太陽発電です。
そのほかに、風力発電、地熱発電、火力発電などさまざまなエネルギー発電の方法があります。専門的で複雑な施設になりがちで、個人が発電設備を整えるのは難しいといえます。
一方、太陽光発電は、主にパネルを整備するだけで済みます。それもあってか、住宅で導入される事例が多くなっているので、山への設備導入も敷居が低いといえるでしょう。
仮に自身で維持管理できなくとも、太陽光発電事業者に土地を提供して利益を分けてもらうということもできます。
レクリエーション事業をする
出典:http://akagi-yama.jp/archives/16244
日本では、祝日に山の日が加わったばかりで、山への関心が以前より高まったといえるでしょう。
それを踏まえると、山のレクリエーション事業で収益を発生させやすいチャンスが到来しているといえます。
代表的な事業としてはフィールドアスレチックがあります。木と木の間に張られたワイヤーを滑車とハーネスを用いて滑り降りていく遊具です。
また、広大なスペースがあるのであれば、気軽に訪れやすいサイクリングコースを整備して、入園料を取るという方法もあります。
そのほか、特用林産物が豊富なのであれば、キノコツアーを開催するのもありといえます。山の土地スペースや資源に適したレクリエーション事業を考えてみましょう。
木材を販売する
木材を自身で伐採して売却するという方法がありますが、素人では困難といえます。
なぜなら、採取のためには、植林から一年中手入れをしなくてはならないだけではなく、チェーンソーといった危険な専門機器の扱い方に長けている必要があるからです。
よほどの自信がない限り、前述した林業事業者に売却を依頼するほうが現実的な手段だといえるでしょう。
特用林産物を売る
特用林産物を売却するという土地活用方法もあります。特用林産物は、日本特用林産振興会の定義を参照すると、山林から生産される木材以外の産物です。
具体的な産物は以下の通りです。
- キノコ類:しいたけ、まつたけ、なめこ
- 山菜類:たけのこ、わさび
- 燃料:木炭、薪、練炭
- 樹実類:くるみ、くり
そのほかにも、マタタビ、オウレンなどの薬用植物や、うるし、木ろうなどの樹脂類などもあります。
このように、山には木材以外にもさまざまな資源があります。木材の売却が難しいのであれば、比較的少ない労力で採取できる特用林産物を売却してみてはいかがでしょうか?
山の土地活用は太陽光発電がおすすめ
ここまでさまざまな土地活用の手段について紹介していきましたが、中でも太陽光発電がおすすめです。その理由をシミュレーションしながら説明してみます。
仮に4840m²の土地に487.6KWの容量を持つ1840枚のパネルを設置したとします。
設置費用が8150万と巨額ですが、7年で8574万4000円の累計収益が発生し、元が取れています。
設置費用の支払いが終われば、さらに収益が上がりそうです。
さらに、収益以外にも太陽光発電を山の土地活用におすすめできるポイントがたくさんあります。
詳しく口述しますが、アパートのように空き室になる心配がなかったり、導入した後のメンテナンスが楽だったりとさまざま都合がよいです。
山の太陽光発電のメリット
シミュレーションを参考に、太陽光発電を山の土地活用におすすめしましたが、
それ以外にも具体的なメリットがいくつかあります。
固定資産税が安い
山は固定資産税が安いことで知られています。固定資産税は土地の評価額と比例して増えます。
道路幅、最寄り駅からの距離、商業施設の有無などさまざまな要因があり、人が住むのに便利であるほど固定資産税が高くなります。
その点、山は人が住むのに不便であり、固定資産税が安くなるのも理に適っているといえるでしょう。
太陽光発電でかなり広いスペースを利用するとしても、固定資産税の心配はなさそうです。
大きな面積を土地活用しやすい
太陽光発電のためにパネルを設置する必要があります。パネルの枚数が多いほど発電量も増加するため、土地の面積が大きいほど有益となります。
このことから、面積を持て余してしまいがちな山の土地活用に相性がよいですよね。
山の面積が広すぎて困っている方は、太陽光発電による土地活用を検討してみてはどうでしょうか?
利回りが良い
利回りとは、投資した元本に対する収益の割合であり、投資の優劣を判断する指標とされています。
太陽光発電が土地活用に向いているのかを判断する際にも利回りの計算は必須です。
ちなみに計算式は、下記のとおりになっています。
利回り = 売電総額 ÷ 投資額 ÷ 年数 × 100
この計算式を用いて、山梨県勝浦市の野立て太陽光発電の場合の利回りを計算してみましょう。
売却総額は3,080万円、初期費用(設置費用)は1,400万円、年数は20年間ですので、
3,080万円 ÷ 1,400万円 ÷ 20年間 × 100 = 11%
となります。
マンションやアパート経営の利回りは約8~9%ほどなので、比較的に高いことがわかります。
メンテナンスが楽
太陽光発電は、収益がでやすいとしても、メンテナンスが難しいのであれば割に合わない可能性もあります。
その点を考えてみると、太陽光発電のメンテナンスは比較的楽だといえます。
なぜなら、ほこりやちりなどの汚れが雨に流されるからです。室内の設備であれば、そのような汚れを清掃してもらうために、人件費を捻出しなければなりません。
総じて、太陽光発電の土地活用は維持管理の面でもおすすめしやすいです。
初心者でも土地活用できる
太陽光発電による土地活用は初心者では難しいというイメージがあるかもしれません。
しかし、深く追求していくと、国が発電を支援する制度があるなど、初心者でも土地活用できることがわかってきます。
土地活用したことがないかたでもできるのでうれしいですよね。
国による電力買取制度
2009年から開始された余剰電力買い取り制度をご存知でしょうか?太陽光発電した余剰電力を、電力会社が固定価格で買い取ることを義務付けた制度です。
たとえば、2011年の買い取り価格は、住宅用なら1kwhあたり42円、事務所や工場などであれば1kwhあたり40円でした。
住宅用は10年間という期間しか買い取ってもらえませんが、産業用太陽光発電であれば20年間買い取ってもらえます。
発電設備を設置するだけで収益を得られるので、太陽光発電は初心者でも土地活用の手段として取り入れやすくなっているといえますよね。
現在は固定価格買い取り制度というものに変更され、買い取り価格は変動しています。導入で損をしないように買い取り価格だけは確認するようにしましょう。
アパートのように空き室がない
山の土地活用において、太陽光発電と不動産投資で迷うことがあるかもしれません。判断の際に考えなければならないのが稼働率です。
例えば、アパートに投資した場合、立地条件が悪くて空き室が出ると、収益が低下してしまいます。
その点、発電パネルは故障しない限り全て発電するので、そのような心配はありません。太陽光発電の土地活用は不動産に投資するより堅実だといえそうです。
山の太陽光発電のデメリット
山の太陽光発電がおすすめといっても、デメリットがないわけではありません。安易に取り入れて失敗しないように、最低限知っておくべき点をまとめていきます。
地盤改良が必要なケースもある
パネルを設置する際に、角度が悪いと効率的に太陽光を受光できません。そのため、パネルが一番受光しやすい位置に設置できるように地盤改良をする必要がある場合があります。
光の関係以外にも、地盤自体が軟弱で地盤改良で費用が重なるケースがあります。できれば、地盤改良でお金をかけたくないと思いますよね。
しかし、地盤改良を怠るとその後の運用でパネルが歪んでしまい、さらに費用が掛かってしまうことがあります。
たとえば、以下のように大雨で太陽光発電が土砂崩れで崩壊してしまう恐れがあります。
このようになってしまえば、土地活用で赤字になってしまいますよね。
地盤改良に関するデメリットは、太陽光発電で土地活用する場合に最低限知っておくべきです。
初期費用がかかる
太陽光パネルの導入には初期費用がかかります。
先のほどのシミュレーションでは8,150万と巨額でしたが、こちらのシミュレーションでは3,400万円で半額以下となっており、決して高いわけではないことがわかります。
太陽光発電による土地活用の際は、導入の仕方を慎重に考えて、初期投資額を抑えることが肝要だといえます。
必ず土地活用できるかわからない
太陽光発電を取り入れることで社会的に不利益がでることもあり、必ずしも土地活用できるとは限りません。実際に、対策として法律が定められています。
森林法がよい例といえるでしょう。林産物などの資源がある森林を無秩序な開発から守る法律です。
1ha以上の森林を伐採して太陽光発電設備を設置する場合は、林地開発許可申請が必要となります。
もちろん許可が下りなければ土地活用ができませんよね。
山は土地のスペースが広いため、太陽光パネルをたくさん設置できますが、導入に関係する法律だけは最低限調べておきましょう。
まとめ
最後に本記事のおさらいをしていきます。
山の土地活用方法が思い浮かばないかたのために、木材や特用林産物などの資源の売却や、レクリエーション施設の事業展開、地方自治体への土地貸し出しなどの具体案を列挙しました。
その中で、国の支援を受けて収益を出すことができる太陽光発電をおすすめしました。
理由のひとつは、山はスペースが広く、太陽光パネルをたくさん設置するのに適しているからです。
また、シミュレーションの結果から太陽光発電は利回りがよく、収益がでやすいことにも納得していただけたと思います。
いくつかデメリットもありましたが、メンテナンスが比較的楽であり、初心者でも設置するだけで不労収益を得られる点はやはり魅力的ですよね。
「山なんか広いだけで何の役にも立たない」とよくいわれがちですが、その広さが最大のメリットです。
その長所をうまく活かせれば、予想以上の収益を得られるかもしれません。山の土地活用について再検討してみることをおすすめします。
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